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美しい日本の文化☆【節句】の日にちは、なぜ奇数なの?

美しい日本の文化☆【節句】の日にちは、なぜ奇数なの?

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今回は【節句】についてのお話です☆

伝統的な年中行事は、三月三日の桃の節句や五月五日の端午の節句など、奇数が重なった日に多くあります。
これは、節句が古代中国の「陰陽五行(いんようごぎょう)」という思想に基づいて生まれたことに関係しています。今回は、陰陽五行にまつわる、日本の行事についてご紹介します。

【陰陽五行とは】
陰陽五行は、「陰陽」と「五行」の2つの思想を組み合わせた、中国の自然哲学の思想です。「陰陽」は、すべての事象は相反する性質が存在することで成り立っているという考え方で、「五行」は、万物は「木・火・土・金・水」の元素から成るという考え方です。この陰陽五行は、医学、天文学などの学問やさまざまな宗教に影響を与え、占いや暦にもなりました。
日本には古墳時代から飛鳥時代にかけて伝来したとされ、古代の政治や行事、風習に強い影響を与えてきました。

【陰陽五行と私たちの暮らし】
陰陽五行の思想では、奇数は縁起の良い「陽」、偶数は縁起の悪い「陰」と考えられています。一月七日「人日(じんじつ)」、三月三日「上巳(じょうし)」、五月五日「端午」、七月七日「七夕(しちせき)」、九月九日「重陽(ちょうよう)」の五節句は、「奇数が重なり大変めでたい日」とされていた一方、「陽の気があまりに強すぎて不吉である」ということから、厄除けや禊が行われていました。それが、節句行事の始まりとされています。やがて、不吉であるという考えは薄れ、「縁起の良い吉祥の日」として、江戸幕府によって暦に制定されました。

一月七日だけ月と日にちの数字が異なるのは、すでに一月一日(元日)の祝日があったためです。その日に七草粥と食べるのは日本独自の風習で、本来はおせちが節句の料理に当たります。

また、「陽」の数字を取り入れた典型的な行事が七五三です。十一月十五日は旧暦の陰陽において何事も吉の日とされており、江戸時代に縁起担ぎを好んだ武家によって、古来の成長儀礼が行事として確立されました。

【その他、陰陽五行に由来する日本の文化】
『水引』
慶事や弔事などで使う熨斗(のし)の水引。水引の結びは、向かって左側を「陽」として淡い色を用い、右側の「陰」には濃い色が配されています。本数は、慶事が奇数、弔事が偶数とされています。婚礼関係に使う10本結びは、偶数ではあるものの、奇数の5本を倍数にした二重陽結びで豪華さを表しています。

『土用』
木=春、火=夏、金=秋、水=冬と五行を四季に割りあて、残る「土」を立春・立夏・立秋・立冬の前18日間に当てはめました。「うなぎ」でお馴染みの「土用の丑の日」も五行に由来しています。

古くから日本の文化に影響を与えてきた陰陽五行。私たちの慣れ親しんだ伝統行事や風習には、このような由来があったのですね。

 

最終更新日 2021年05月31日(月)